

- 米国高配当ETFってなに?
- それぞれの違いは?
- どのETFを選べばいいの?
このような疑問に応えます。
米国市場の高配当株だけを集めたETF【米国高配当ETF】が注目されています。
しかし、高配当ETFと言ってもいくつか商品があって、どのETFを選べば良いのか分かりませんよね。
そこでこの記事では、米国高配当ETFの3トップ【VYM・HDV・SPYD】を徹底比較していきます。
本記事を参考にすると、米国高配当ETFについて詳しく理解でき、あなたにピッタリな高配当ETFを見つけることが可能です。
- VYM・HDV・SPYDの特徴
- VYM・HDV・SPYDを徹底比較
- VYM・HDV・SPYDを購入するのに便利な証券会社
VYM・HDV・SPYDの特徴

米国高配当ETFは、米国市場の配当利回りが高い株だけを集めたETF。
皆が大好きな配当金(インカムゲイン)という不労所得を狙うことになります。
代表的な米国高配当ETFは、VYM・HDV・SPYDです。
それぞれの特徴を簡単に紹介します。
VYMの特徴
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)は、バンガード社が運用する米国高配当ETF。
指数 | FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス |
設定日 | 2006/11/10 |
構成銘柄数 | 410 |
経費率 | 0.06% |
配当回数 | 年4回 |
直近配当利回り | 3.35% |
※2021年2月時点
VYMは、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス指数に連動を目指しており、高い配当利回りの大型株を中心に構成されているETFです。
構成銘柄数は約400銘柄と、幅広い銘柄に投資することでリスクを分散しているのが特徴的。
また、3種類の中で最も古い2006年に設定された定番米国高配当ETFでもあります。
下記記事では、VYMについてさらに詳しく紹介しています↓
HDVの特徴
HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF)は、ブラックロック社が運用する米国高配当ETF。
指数 | モーニングスター配当フォーカス指数 |
設定日 | 2011/03/29 |
構成銘柄数 | 75 |
経費率 | 0.08% |
配当回数 | 年4回 |
直近配当利回り | 4.04% |
※2021年2月時点
HDVは、モーニングスター配当フォーカス指数に連動を目指しており、財務の健全性が高く、持続的に平均以上の配当を支払うことができる、質の高い銘柄で構成されているETFです。
構成銘柄数は70~75銘柄と3種類の中で最も少なく、さらに年に4回のリバランスを行うため、売買回転率が高いのが特徴となっています。
まさに、少数精鋭で攻めるタイプの米国高配当ETFだと言えるでしょう。
ちなみに、設定日は2011年とリーマンショック後の不景気中にできた希望のETFです。
下記記事では、HDVについてさらに詳しく紹介しています↓
SPYDの特徴
SPYD(SPDR ポートフォリオS&P500高配当株式)は、ステート・ストリート社が運用する米国高配当ETF。
指数 | S&P 500高配当指数 |
設定日 | 2015/10/21 |
構成銘柄数 | 80 |
経費率 | 0.07% |
配当回数 | 年4回 |
直近配当利回り | 6.48% |
※2021年2月時点
SPYDは、S&P500高配当指数に連動を目指しており、S&P500の構成銘柄のうち配当利回り上位80銘柄のみで構成されているETFです。
80銘柄にほぼ均等に投資するのが特徴的で、年2回のリバランスを行います。
さらに、SPYDの構成銘柄で比率の多いセクターが、他の2種類ではほぼ含まない景気に敏感な不動産セクターである面白いETFでもあります。
ちなみに設定日は、3種類で最も新しい2015年です。

私はSPYDに投資しています!
下記記事では、SPYDについてさらに詳しく紹介しています↓
VYM・HDV・SPYDを徹底比較

結論から言うと、それぞれ違いはありますが、どのETFを選んでもそこまで変わりません。
それでは、米国高配当ETFの代表的存在3種類を比較してみましょう。
以下の点で比較してみます。
- 経費率
- 構成銘柄数
- 上位10銘柄
- セクター比率
- 直近配当利回り
順番に詳しく紹介します。
経費率
米国高配当ETFそれぞれの経費率は、以下のとおり。
VYM | HDV | SPYD |
0.06% | 0.08% | 0.07% |
※2021年2月時点
投資の基本は、手数料を安く抑えること。
その点、米国高配当ETFはどれも非常に低い経費率であることが分かります。
この程度の差であれば、あまり変わりはないと言えるでしょう。
例えば100万円投資した場合、1年間でVYMなら600円、HDVなら800円の信託報酬です。
この差200円。1000万円投資しても2,000円の差です。
これを安いと見るか、高いと見るか。
米国ETFが日本と比べるとどれだけ低コストなのかが分かる
注目すべきは、どの米国高配当ETFも驚異的な低コストだというところ。
ここで米国高配当ETFと、日本の少額投資非課税制度「つみたてNISA」で投資できる商品と比較してみます。
つみたてNISAで選べる商品は、金融庁の厳しい基準をクリアした商品のみ。
厳しい基準の中にはもちろん信託報酬の安さも入っています。
そんな、つみたてNISAで販売できる信託報酬の基準がこれ↓
信託報酬(経費率)が1.5%以下の商品
例えば、信託報酬が1.5%の商品に100万円投資した場合、1年間で15,000円の信託報酬です。
一方、米国高配当ETFの経費率は、つみたてNISAで販売できる基準の約20分の1。
どれだけ米国高配当ETFが低コストなのかが分かりますよね。
ただ、しっかり探せばつみたてNISAにも信託報酬の安い商品はあります。
下記記事では、つみたてNISAで選ぶべき投資信託を詳しく紹介しています↓
構成銘柄数
米国高配当ETFそれぞれの構成銘柄数は、以下のとおり。
VYM | HDV | SPYD |
410 | 75 | 80 |
※2021年2月時点
構成銘柄数は、そのETFがどれだけ分散投資をしているかの目安となります。
VYMが約400銘柄と圧倒的に多く、少数精鋭で攻めるタイプのHDVと配当利回り上位80銘柄構成されているSPYDは少なく感じますね。
しかし、HDVとSPYDの構成銘柄数でも十分に分散投資されているので、そこまで心配する必要はありません。
上位10銘柄
続いて、米国高配当ETFそれぞれの上位10銘柄を見ていきましょう。
同じ米国高配当ETFでも、上位10銘柄の構成や保有比率が全く違います。
VYMの上位10銘柄
VYMの上位10銘柄は、以下のとおり。
銘柄 | セクター | 比率 |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | ヘルスケア | 3.90% |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 金融 | 3.54% |
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 生活必需品 | 2.84% |
バンク・オブ・アメリカ | 金融 | 2.08% |
インテル | 情報技術 | 2.07% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 通信 | 2.06% |
コムキャスト | 通信 | 2.04% |
AT&T | 通信 | 1.85% |
ファイザー | ヘルスケア | 1.81% |
ウォルマート | 生活必需品 | 1.78% |
※2020年3月時点
上位10銘柄で全体の約24%を占めています。
VYMは大型株を中心に構成しているので、こうして見ると皆さん知っている企業が多いのではないでしょうか?
どの企業も「超」がつくほどの優良企業ですね。
HDVの上位10銘柄
HDVの上位10銘柄は、以下のとおり。
銘柄 | セクター | 比率 |
エクソンモービル | エネルギー | 12.57% |
AT&T | 通信 | 8.48% |
シェブロン | エネルギー | 7.15% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | ヘルスケア | 6.62% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 通信 | 5.77% |
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 生活必需品 | 4.39% |
ファイザー | ヘルスケア | 4.30% |
シスコシステムズ | 情報技術 | 3.79% |
コカ・コーラ | 生活必需品 | 3.70% |
メルク | ヘルスケア | 3.32% |
※2021年2月時点
上位10銘柄で全体の約60%を占めています。
HDVはVYMと構成銘柄が似ていますが保有比率が全く違い、HDVの場合は上位3銘柄だけで約28%も占めています。
このことからHDVが3種類の中で、最も保有比率が偏っているETFと言えるでしょう。
それでも分散効果は十分ありますのでご安心を。
SPYDの上位10銘柄
SPYDの上位10銘柄は、以下のとおり。
銘柄 | セクター | 比率 |
ホーリーフロンティア | エネルギー | 1.54% |
コノコフィリップス | エネルギー | 1.50% |
バレロ・エナジー | エネルギー | 1.48% |
ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル | 金融 | 1.47% |
エクソンモービル | エネルギー | 1.42% |
マラソン・ペトロリアム | エネルギー | 1.42% |
ゼロックス・ホールディングス | 情報技術 | 1.40% |
ルーメン・テクノロジーズ | 通信 | 1.38% |
リージェンシー・センターズ | 不動産 | 1.38% |
シーゲイト・テクノロジー | 情報技術 | 1.37% |
※2021年2月時点
SPYDはほぼ均等に分散投資しているのが特徴的です。
最も多い銘柄でも、約1.5%ほどしか保有していません。
また、VYMとHDVは構成銘柄が似ていましたが、SPYDだけS&P500の銘柄から単純に配当利回りが高いものだけで構成されているため、全く違うのも面白いですね。
セクター比率
それぞれのセクター比率を見ると、各ETFの特徴が分かります。
例えば、セクターによって景気に敏感に反応するものや、不景気にも強いものなど違いがあります。
それでは、米国高配当ETFそれぞれのセクター比率を見ていきましょう。

自分の好きなセクター比率のETFを選びましょう!
VYMのセクター比率
VYMのセクター比率は、以下のとおり。
セクター | 比率 |
金融 | 20.60% |
ヘルスケア | 14.20% |
生活必需品 | 13.10% |
資本財 | 9.90% |
情報技術 | 9.30% |
公共事業 | 8.80% |
通信 | 7.90% |
エネルギー | 6.30% |
一般消費財 | 6.10% |
素材 | 3.80% |
※2021年2月時点
VYMは、上位3セクターで全体の約47%を占めているETF。
景気に敏感な金融セクターの比率が最も多く、不況時に強い一般消費財セクターとヘルスケアセクターの比率を2番目3番目に多くすることで、リスクをうまく分散しているのが分かります。
なお不動産セクターは、VYMに含まれていません。
HDVのセクター比率
HDVのセクター比率は、以下のとおり。
セクター | 比率 |
エネルギー | 25.09% |
ヘルスケア | 18.96% |
通信 | 14.25% |
生活必需品 | 13.15% |
公益事業 | 7.17% |
情報技術 | 6.92% |
資本財・サービス | 6.45% |
一般消費財・サービス | 3.22% |
金融 | 2.98% |
素材 | 1.08% |
キャッシュ、デリバティブ等 | 0.65% |
不動産 | 0.08% |
※2021年2月時点
HDVは、上位3セクターで全体の約58%を占めているETF。
かなり偏っていますね(笑)
しかもエネルギーセクターは、比率が25%を超えるほど。
ちなみに、2番目に比率が多いヘルスケアセクターは、ディフェンシブ型のセクターなので下落相場に強いと言えます。
SPYDのセクター比率
SPYDのセクター比率は、以下のとおり。
セクター | 比率 |
金融 | 23.11% |
不動産 | 19.10% |
エネルギー | 15.02% |
公益事業 | 12.33% |
情報技術 | 7.59% |
コミュニケーション・サービス | 6.22% |
素材 | 4.89% |
生活必需品 | 4.86% |
一般消費財・サービス | 3.62% |
ヘルスケア | 3.26% |
※2021年2月時点
SPYDは、上位3セクターで全体の約57%を占めたETF。
ちなみに、他の米国高配当ETFにはほとんど含まれていない、不動産セクターの比率だけでも約19%も占めており、かなり癖のあるETFだと分かります。
不動産セクターは配当利回りが高いことが魅力的ですが、景気にとても敏感なセクターです。
また、金融セクター・エネルギーセクターも景気に敏感なセクターなので、強気なETFだと分かりますね。
直近配当利回り
最後に気になる直近配当利回りを比較します。
VYM | HDV | SPYD |
3.30% | 3.95% | 6.32% |
※2021年3月時点
これだけ見ると、SPYDの配当利回りはとても魅力的に感じますね。
ただしSPYDは設定日から日が浅く、実績が少ないうえに増配の度合いも未知数。
その点、VYMの増配率はこの中で最も高い実績があります。
仮にこのままの増配率を維持した場合、数年後にはVYMがトップの配当利回りになるでしょう。
実はVYMよりも増配率の高い米国ETFがある
余談ですが、VYMよりも増配率が高い米国ETFが存在するのをご存じでしょうか?
そのETFの名は「VTI」です。
VTIは、キャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙えるバランスの取れた米国ETF。
驚くのは、配当金が過去17年間で約5倍にも増えていること。
増配率に関しては、VTIが頭一つ飛び抜けていると言えるでしょう。
下記記事では、VTIについて詳しく紹介しています↓
VYM・HDV・SPYDを購入するのに便利な証券会社

米国高配当ETFを購入するなら、ネット証券がおすすめ。
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総合証券会社で購入すると、ネット証券の10倍くらいの手数料を取られますよ(笑)
特に、ネット証券の中でもおすすめなのが、口座開設数No.1の SBI証券 です。
「米国ETF定期買付サービス」は、SBI証券だけで利用できるサービス。
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口座開設は、もちろん無料なので気軽にご利用ください。
まとめ:VYM・HDV・SPYDを徹底比較!【米国高配当ETF】
メリット | デメリット | |
VYM | ・分散力が高い ・低コスト ・増配率が高い ・暴落を乗り越えた実績がある | ・配当利回りが低い |
HDV | ・優良銘柄のみを揃えている ・低コスト ・アクティブな運用方法 | ・分散力が低い ・保有比率に偏りがある ・売買回転率が高い |
SPYD | ・配当利回りが高い ・均等配分 ・低コスト ・REITを含んでいる | ・優良銘柄が少ない ・分散力が低い ・日が浅く実績が少ない |
本記事では、VYM・HDV・SPYDを徹底比較しましたが、絶対にここで紹介したETFを選ばなければならない!というわけではありません。
ここまで書いておいてアレですが、好みで選んで問題ないです。
どの高配当ETFを選んでも、個別株より遥かにリスクが低いので安心して投資できます。
どうしても選べない人は、HDVとSPYDの両方に投資してみてはいかがでしょうか?
上位2セクターが被らずに、お互いに少ない比率のセクターを補い合って、うまくリスクを分散できますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!よしなに!
↓米国高配当株に投資するなら必ず読むべき本です↓